最後の締めくくりとなったヒメウは舳倉島からもよく沖の岩礁に並んで立っているところが見えるが航路上では近距離で飛び物が狙える。嘴が明らかに細いのですぐにそれと判る。今回は群れで飛んでいる中に脇が白色の生殖羽の成鳥が混ざっていた。陽が陰ったタイミングだったので色が出ていないのが残念だ。
僕は何故毎年ここ舳倉島に戻って来るのだろうか。一般的な観光地では名所や名物がメディアで事細かに紹介されているから行く前からどこに何が有るのか予め分かってしまっていて自分で発見する楽しみが奪われている。こういういわゆる「観光地擦れ」は有名な観光地のほとんどが犯している過ちだ。本当の感動が無いから一度見たら充分でもう一度行きたいとは思わず、その結果リピーターが来ないから長い目で見ればいずれ廃れてしまう。外国人観光客に頼ったところで結果は同じだろう。しかし舳倉島(バードウォッチング)には自分で発見する楽しみが有る。事前情報も有るがそれ以外にも野鳥は居る。しかも必ず居る保証は無いから見つけた時の感動が大きい。だから何度来ても飽きる事は無いのだ。今からもう来春の舳倉島が楽しみでしょうがない。
長期宿泊している人に聞いたところ今年のゴールデンウィーク期間の舳倉島は前半はまるっきり坊主状態で後半は悪天候と散々だったそうだ。但しあまり天気が良過ぎても野鳥たちが抜けて行ってしまい日替わり状態になるのでやや天気が悪いくらいの方が良い場合が多いという。今回僕が舳倉島に渡ったタイミングは前日まで悪天候だったのと滞在中やや曇りがちな天気だったお陰で島の野鳥たちが抜けず新たに入って来た野鳥たちが合流してかなり賑わう結果となった様だ。結局2泊3日の滞在中に舳倉島とへぐら航路、輪島港近くで撮影した野鳥たちは以下の通り67種+1種(同定不能)となり個人的には舳倉島デビューした2013年以来の5年間で過去最多とも言える充実ぶりだった。種類だけでなく個体数も多く中でもキマユムシクイ、マミジロキビタキ、オジロビタキなど通常なら舳倉島でさえ1羽単位でしか見られない様な珍鳥の多さが際立っていた。その全てを掲載することは出来ないが終ってみれば今回の撮影旅行を通して切ったシャッターはおよそ2300回、その多くがゴミ箱行きにならず帰宅後整理するだけで丸2日掛かった。
アオジ、アカエリヒレアシシギ、アトリ、イカル、イソヒヨドリ、イワツバメ、ウミウ、ウミネコ、エゾムシクイ、オオミズナギドリ、オオルリ、オシドリ、オジロビタキ、カシラダカ、カラスバト、カラムクドリ、カワラヒワ、キアシシギ、キジバト、キビタキ、キマユホオジロ、キマユムシクイ、キレンジャク、コイカル、コウライウグイス、コガモ、コゲラ、コサメビタキ、コホオアカ、コムクドリ、コルリ、サメビタキ、サンショウクイ、シジュウカラ、シベリアアオジ、シマアオジ、シマゴマ、シマノジコ、シメ、シロエリオオハム、シロハラホオジロ、センダイムシクイ、タカブシギ、チュウサギ、ツグミ、ツバメ、ニシオジロビタキ、ノビタキ、ハクセキレイ、ハチジョウツグミ、ハヤブサ、ヒメイソヒヨ、ヒメウ、ヒメコウテンシ、ヒレンジャク、ビンズイ、ブッポウソウ、ホオアカ、マヒワ、マミジロキビタキ、マミジロツメナガセキレイ、マミチャジナイ、ミサゴ、ムギマキ、ムクドリ、メジロ、ルリビタキ、ジシギ(タシギ、ハリオシギ、チュウジシギ、オオジシギ)のいずれか。
アオジ:フォトギャラリー第360回他参照
アトリ:フォトギャラリー第381回他参照
イカル:フォトギャラリー第371回他参照
イソヒヨドリ:フォトギャラリー第312回他参照
イワツバメ:フォトギャラリー第361回他参照
ウミウ:フォトギャラリー第380回他参照
エゾムシクイ:フォトギャラリー第375回他参照
オオルリ:フォトギャラリー第372回他参照
オシドリ:フォトギャラリー第376回他参照
オジロビタキ:フォトギャラリー第375回参照
カシラダカ:フォトギャラリー第377回他参照
カラスバト:フォトギャラリー第376回参照
カラムクドリ:フォトギャラリー第379回他参照
キアシシギ:フォトギャラリー第197回他参照
キジバト:フォトギャラリー第61回参照
キビタキ:フォトギャラリー第320回他参照
キマユホオジロ:フォトギャラリー第378回他参照
キマユムシクイ:フォトギャラリー第382回他参照
キレンジャク:フォトギャラリー第382回参照
コイカル:フォトギャラリー第381回他参照
コウライウグイス:フォトギャラリー第379回他参照
コガモ:フォトギャラリー第363回参照
コゲラ:フォトギャラリー第373回他参照
コサメビタキ:フォトギャラリー第323回他参照
コホオアカ:フォトギャラリー第381回他参照
コムクドリ:フォトギャラリー第377回他参照
コルリ:フォトギャラリー第379回他参照
サメビタキ:フォトギャラリー第326回他参照
サンショウクイ:フォトギャラリー第376回他参照
シジュウカラ:フォトギャラリー第280回他参照
シベリアアオジ:フォトギャラリー第378回他参照
シマアオジ:フォトギャラリー第374回参照
シマゴマ:フォトギャラリー第296回参照
シマノジコ:フォトギャラリー第377回他参照
シメ:フォトギャラリー第289回他参照
シロエリオオハム:フォトギャラリー第235回他参照
シロハラホオジロ:フォトギャラリー第380回他参照
センダイムシクイ:フォトギャラリー第289回他参照
タカブシギ:フォトギャラリー第155回参照
チュウサギ:フォトギャラリー第380回他参照
ツグミ:フォトギャラリー第335回他参照
ツバメ:フォトギャラリー第247回他参照
ニシオジロビタキ:フォトギャラリー第380回他参照
ノビタキ:フォトギャラリー第258回他参照
ハクセキレイ:フォトギャラリー第245回他参照
ハチジョウツグミ:フォトギャラリー第378回他参照
ハヤブサ:フォトギャラリー第382回他参照
ヒメイソヒヨ:フォトギャラリー第378回他参照
ヒメコウテンシ:フォトギャラリー第375回参照
ヒレンジャク:フォトギャラリー第382回他参照
ビンズイ:フォトギャラリー第266回他参照
ブッポウソウ:フォトギャラリー第376回他参照
ホオアカ:フォトギャラリー第380回他参照
マヒワ:フォトギャラリー第382回他参照
マミジロキビタキ:フォトギャラリー第380回他参照
マミジロツメナガセキレイ:フォトギャラリー第379回他参照
マミチャジナイ:フォトギャラリー第381回他参照
ミサゴ:フォトギャラリー第198回他参照
ムギマキ:フォトギャラリー第374回他参照
ムクドリ:フォトギャラリー第382回参照
メジロ:フォトギャラリー第272回他参照
ルリビタキ:フォトギャラリー第353回他参照
タシギ:フォトギャラリー第248回他参照
チュウジシギ:フォトギャラリー第293回参照
ウミネコ:類似種の識別ウミネコとカモメ参照
初歩のバードウォッチング:飛び方参照
分類:カツオドリ目 ウ科
全長:73.0cm
翼開長:98.0cm
分布:本州以南で冬鳥、北海道で留鳥。
生息環境:沿岸、河川など。
食性:魚類など。
レッドリスト:
(EN)
フォトギャラリー:
第110回参照
撮影難易度:★★★★☆
ヒメウ(生殖羽)
Pelagic Cormorant
Phalacrocorax pelagicus
撮影日:2018年5月10日
撮影時間:16時07分21秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
そして七ツ島(無人島)の沖合付近でようやくそのオオミズナギドリの群れと遭遇した。フェリーが大きな群れの真ん中に突入すると360°オオミズナギドリが乱舞する大迫力の一大イベントになるが今回はちょっと遠かった。
分類:ミズナギドリ目 ミズナギドリ科
全長:49.0cm
翼開長:120.0cm
分布:全国で漂鳥。
生息環境:海上、沿岸、沖合など。
食性:魚類、イカなど。
フォトギャラリー:
第299回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
オオミズナギドリ
Streaked Shearwater
Calonectris leucomelas
撮影日:2018年5月10日
撮影時間:15時41分13秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
撮影日:2018年5月10日
撮影時間:15時42分03秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
そのすぐあとアカエリヒレアシシギが見えた。毎年この航路上で観察しているから去年から撮影難易度を星2個にしていたが海上に出なければ撮影は簡単ではないしオオミズナギドリほど多くないので3個に戻した。
分類:チドリ目 シギ科
全長:18.0cm
翼開長:32.0cm
分布:全国で旅鳥。
生息環境:海上、内海など。
食性:昆虫、貝類、プランクトンなど。
フォトギャラリー:
第299回他参照
撮影難易度:★★★☆☆
アカエリヒレアシシギ
Red-necked Phalarope
Phalaropus lobatus
撮影日:2018年5月10日
撮影時間:15時10分15秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
舳倉島港を出港して間も無くフェリーと並行する様に海上を1羽の小鳥が波状飛行しているのが見えた。撮影画像を見るとカワラヒワだった。舳倉島から本土まで約50km、途中で休むことは出来ない。この方向に有る七ツ島でさえ小鳥にとっては遠い海の向こうだ。日本海を島嶼から島嶼へ渡っている時はもっと長距離を休まず飛び続けているはずだ。途中で力尽きれば命は無い。渡りの時はもっと高い高度を飛んでいるのだと思っていたがレンジャーによれば羽ばたいて飛ぶ鳥は風の影響の少ないぎりぎりの低い高度を飛ぶそうだ。理屈の上では小鳥たちも海の上を渡っているのは分かっていたが実際に間近に目撃して改めて感動した。
分類:スズメ目 アトリ科
全長:15.0cm
翼開長:24.0cm
分布:九州以北で留鳥または漂鳥。
生息環境:平地~山地の林、農地など。
食性:種子、木の実など。
フォトギャラリー:
第366回他参照
撮影難易度:★★☆☆☆
カワラヒワ
Oriental Greenfinch
Chloris sinica
撮影日:2018年5月10日
撮影時間:15時08分37秒
シャッタースピード:1/1600秒
絞り値:F5.6
撮影モード:マニュアル
焦点距離:300mm(換算450mm)
ISO感度:800
撮影地:石川県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon AF-S NIKKOR55-300mm 1:4.5-5.6G ED VR
フェリーに乗って舳倉島を後にした僕はへぐら航路から海上に目を凝らしていた。そう言えば往路ではオオミズナギドリすら見られなかった。海鳥を意識して狙っていた僕を最初に驚かせたのは意外な鳥だった。
第383回 2018年6月22日