余録;ニホンアナグマ
伊吹山にて。
カッコウはジュウイチなどと同様、鳴き声を単純に聞きなした名前だろう(英名もCommon Cuckoo、学名もCuculus canorus)。モズ、ホオジロ、アオジ、オオヨシキリなどに托卵する事が有名だ。どことなくその外見がハイタカなどに似ている事から、鷹に擬態して托卵する相手を威嚇し、巣が無防備になった瞬間に托卵するのではないかと言われている。翼下面には、ご丁寧に鷹斑まで有る。カッコウ科の中では開けた場所を好むとされる通り伊吹山の登山道から見通せる所で鳴いていた。
ホトトギスは主にウグイスに托卵する。当然偽物とバレない様に、よく似た赤い卵だ。先日ホトトギスの鳴き声を聞いていると「特許許可局」などと聞きなされる鳴き声の最後の「許可局」の部分がウグイスのさえずりの最後の部分や谷渡りの声に似ている様な気がして来た。ホトトギスが鳴くとウグイスが反応してさえずる様に聞こえたので、ホトトギスが托卵する相手を探索する為に鳴き声を発し、ウグイスがライバルが現れたと勘違いして縄張りを主張すると、巣の場所がバレて托卵されてしまうのではないかと仮説を立ててみた。この仮説を恐る恐るレンジャーの人にぶつけてみたらあっさり一蹴されてしまった。ウグイスの巣は上空から見下ろすと丸見えなので、そんな事をしなくても簡単に見つかるのだそうだ。また、ウグイスのさえずりが先でホトトギスの方が反応して鳴くのが通例だそうだ。写真は少々古く、4年前に大阪の山間部で撮ったものだ。高い木のてっぺんに止まっている事が多いのでなかなか奇麗な写真を撮らせてくれない。声はすれどなかなか姿を見せないので、飛翔の瞬間を捉えた。
カッコウ科は子育てを他種に託してしまう事により自らの生存に掛ける負担を軽減しているものと思われる。人間の価値観で考えてしまうと非情な習性に感じるが、これも壮大な自然の摂理の一部だろう。子育てを託された仮親の方は初めの内はともかく、自分よりも大きくなった雛にも気付かず餌を与え続ける。この様に日々の変化が僅かだから気付かないという事は人間の実生活にも起こり得る。日々の成長も停滞も気付きにくい。毎日の積み重ねが長い年月の内に大きな変化をもたらす。
余談だが「特許庁」は存在するが「特許許可局」という行政機関は実在しない。考えてみれば托卵という手法は特許を取るに値する裏技ではないだろうか。

ハイタカ:フォトギャラリー第30回第43回第70回第102回第115回参照
ホオジロ:フォトギャラリー第16回参照
アオジ:フォトギャラリー第16回参照
オオヨシキリ:フォトギャラリー第79回参照
ウグイス:フォトギャラリー第3回第26回第114回参照
類似種の識別:カッコウとツツドリカッコウとホトトギス参照
分類:カッコウ目 カッコウ科
全長:28.0cm
翼開長:46.0cm
分布:全国で夏鳥。
生息環境:平地~山地の林など。
食性:幼虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
Lesser Cuckoo
Cuculus poliocephalus
ホトトギス
撮影日:2009年6月19日
撮影時間:10時56分45秒
シャッタースピード:1/2000秒
絞り値:F11.2
撮影モード:マニュアル
焦点距離:600mm(換算900mm)
ISO感度:1600
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D40
使用レンズ:Nikon ED AF NIKKOR 70-300mm1:4-5.6D
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:カッコウ目 カッコウ科
全長:35.0cm
翼開長:57.0~64.0cm
分布:九州以北で夏鳥。
生息環境:山地の林など。
食性:幼虫など。
フォトギャラリー:初登場
撮影難易度:★★★☆☆
カッコウ
Common Cuckoo
Cuculus canorus
撮影日:2013年6月4日
撮影時間:11時19分01秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:滋賀県
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
カッコウ ホトトギス ニホンアナグマ
第118回 2013年8月6日