大阪南港野鳥園で猛禽類の止まり姿を立て続けに押さえる事が出来た。なかなかこういうチャンスは無い。
彼らのテリトリーは互いにどうなっているのだろうか。去年の暮オオタカ幼鳥の止まった枯れ木にはハイタカが止まった(フォトギャラリー第125回参照)。この羽色で雌なのだそうだ。これが雌という事は過去に雄として掲載した個体も雌だった可能性が有る。ハイタカの雌雄識別は意外にレンジャーにも難しいらしく、雄成鳥はがベッタリしたオレンジ色になる個体が多く背面は青味が有る。雌成鳥は同様に頬や胸がオレンジ色になる個体は有るがベッタリした感じにはならない。背面は灰色でやや褐色味の有る個体が多いとの事で、この個体もおそらく雌だろうという推測に過ぎない。ハイタカはソアリングもするが、ここでは葦原の中に身を潜めている事が多く、ゆっくり姿を見せてくれる事は滅多に無い。この日もチラチラと姿を垣間見せては葦原の中に隠れていたが、ひょっこり出て来たかと思うとこの木に止まった。実は2枚目の写真は1ヶ月近く経った後に同じ木に止まった時のものだから、次のチョウゲンボウやオオタカよりだいぶ後の撮影だ。
チョウゲンボウは頭が青灰色なので雄だ。チョウゲンボウの2枚目の写真は「飛び出し」の瞬間を捉えた。僕はあまりこういう写真にこだわりは無いが、野鳥ファンの間ではこれを狙う人が多いので挑戦してみた。反射神経というよりは鳥の仕草から予測する事が求められる。姿勢が前かがみになって遠方の一点を凝視する様子が見られたら飛び出す予兆だ。「動いた」と思ったらシャッターを切る。「飛んだ」と思ってからシャッターを切っても遅い。この写真は欲を言えばISO感度をもう1段くらい上げてシャッタースピードを短くすべきだった。暗いレンズの弱点で被写体ブレが酷くなってしまった。実はこの時、先程のハイタカが足元の葦原の中に潜んでいたが、互いに攻撃を仕掛けるでもなく何事も起きなかった。
一番驚いたのは、オオタカ成鳥が観察所に人間が居るのが見えていない筈は無いのに、それ程遠くない杭に止まった事だ。こちらが見えている証拠に何度かカメラ目線になった。オオタカ成鳥がこういう所に止まるのは非常に珍しい。今回は風向きも幸いした様だ。ここは普段海風が吹いているので、風に向かって止まる野鳥たちは大抵こちらに背中を向けて止まるが、この数日は風向きも多少違った。前日が悪天候で狩りが出来なかった等の好条件が重なったのも幸運だった。同じハイタカ属で外見がよく似ているオオタカとハイタカだが、さすがに見慣れて来たせいか最近はパッと見た瞬間の第一印象でだいたい同定できる様になって来た。

類似種の識別:オオタカとハイタカ参照
初歩のバードウォッチング:止まり方色彩・斑紋参照
分類:タカ目 タカ科
全長:雄50.0cm 雌58.5cm
翼開長:105.0~130.0cm
分布:全国で留鳥。
生息環境:平地~山地の林、河川など。
食性:鳥類、両生類、小型哺乳類など。
レッドリスト:
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第1回第12回第15回第24回第30回第32回第33回第70回第82回第123回第125回参照
撮影難易度:★★★★☆
オオタカ
Northern Goshawk
Accipiter gentilis
撮影日:2014年1月9日
撮影時間:14時52分06秒
シャッタースピード:1/250秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:タカ目 ハヤブサ科
全長:雄33.0cm 雌38.5cm
翼開長:68.5~76.0cm
分布:全国で留鳥または冬鳥。
生息環境:平地~山地の草原、農耕地、河川など。
食性:鳥類、小型哺乳類、昆虫など。
指定:
天然記念物(長野県十三崖のチョウゲンボウ繁殖地)
フォトギャラリー:第37回第43回第69回参照
撮影難易度:★★★★☆
チョウゲンボウ(雄)
Common Kestrel
Falco tinnunculus
撮影日:2014年1月7日
撮影時間:14時50分03秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2014年1月7日
撮影時間:14時49分36秒
シャッタースピード:1/320秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
分類:タカ目 タカ科
全長:雄32.0cm 雌39.0cm
翼開長:60.0~79.0cm
分布:本州以北で留鳥または冬鳥。
生息環境:森林、農耕地。
食性:鳥類、小型哺乳類など。
レッドリスト
準絶滅危惧(NT)
フォトギャラリー:第30回第43回第70回第102回第115回第124回参照
撮影難易度:★★★★☆
ハイタカ(雌)
Eurasian Sparrowhawk
Accipiter nisus
撮影日:2014年2月4日
撮影時間:11時32分56秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:800
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
撮影日:2014年1月7日
撮影時間:14時29分54秒
シャッタースピード:1/200秒
絞り値:F16
撮影モード:マニュアル
焦点距離:1000mm(換算1500mm)
ISO感度:400
撮影地:大阪府
使用カメラ:NIKON D5100
使用レンズ:Nikon Reflex-NIKKOR・C 1:8 f=500mm
:Nikon Teleconverter TC-201 2×
ハイタカ チョウゲンボウ オオタカ
第129回 2014年2月12日